どうか安らかに・・・
先日(12月4日)の朝、当施設受付に君臨していた超大型犬「カシス」
(セント・バーナードとグレート・デーンの混血)が息を引き取りました。
高齢のお婆さん犬で下半身が不自由な要介護犬でした。
私も何度か下半身のシャンプー洗いをしましたが、
超大型犬なので体重が大変重く、一人で移動させるのはかなり困難でした。
ある時私はシャンプー洗いでカシスの体を抱え上げた際、
自分の肘で自分の胸を圧迫してしまい、肋骨軟骨にひびが入ったことがありました。
全治10日で負傷当初は車のハンドルを切る度に胸に鈍痛が走る有様でした。
そのような事もあり私はいつしかカシスのシャンプーに苦手意識を抱いてしまいました。

 そのような折、11月のにゃんだ祭りの数日前にカシスのシャンプーと
お祭り準備のラミネートフィルム貼り合わせ作業をする機会があり、
カシスのシャンプー洗いに苦手意識を抱いてしまっていた私は
フィルム貼り合わせ作業を優先させてしまいました。事実、
フィルム貼り合わせ作業は膨大で
1日で作業を完了させることができませんでした。
カシスのシャンプーを優先していればフィルム貼り合わせ作業は
更にはかどっていなかったことでしょう。

 しかし、お祭りの数日後、カシスは体調を崩して入院してしまいました。
高齢なだけに無事退院できるかどうかわかりません。私は一抹の不安を抱きました。
「このまま再び一度もカシスをシャンプー洗いせずに終わってしまうのか・・・・?」
カシスに大きな借りが出来てしまった気分でした。

 実はカシスが亡くなる前日の夜、当施設のスタッフからカシスが重篤な様子であると聞き、
入院中のカシスを見舞う機会に恵まれました。カシスは虫の息で、
もう二度とカシスをシャンプーすることはかなわないかもしれないと感じました。
私はカシスに詫びる気持ちを込めて精一杯頭や首をなで続けました。
「ごめんね、カシスちゃん・・・」カシスは二度程まばたきをしてくれました。
重篤な状態では体はいうことをきかず、まばたきぐらいしかできません。
私はその時カシスが私の謝罪に応じてくれた気がしました。

 カシスが亡くなった日は私は公休日でしたが、カシスをみとったスタッフの話によると、
カシスは亡くなる直前に吠えてスタッフを呼び集め、
多くのスタッフに見守られながら安らかに息を引き取ったそうです。
死に様は生き様を象徴するなどと言われることがありますが、
長年不自由な体と向き合い続けたカシスはやはり立派に天寿を全うしたといえるでしょう。
頭の下がる思いです。

 そしてその数日後、私はカシスの亡骸を火葬場まで車で搬送することになりました。
出棺の際、私は車の警笛を鳴らすことを思いつきました。
「スタッフの皆さん、長い間大変お世話になりました。とても感謝しています。
これからはかつての仲間と共に天国で皆さんを応援しています・・・。」
カシスの想いを警笛にのせたら、警笛がやたら長くなってしまいました。
そのせいで、何事か、交通事故かと多くのスタッフが玄関まで駆けつけたそうです。
人騒がせなところは最後までカシスらしかったなと思いつつも、
やはりスタッフの皆さんお騒がせして申し訳ございませんでした。
この場をお借りしてお詫び申し上げます。

 話が少し前後しますが、カシスの棺を車にのせる際、
車の荷台にどこからかあまり見かけない三枚組の緑色の木の葉が落ちてきました。
棺の中にはきれいな花束が沢山添えられていましたが、
私はさらに棺の上にその珍しい木の葉を貼り付けました。
火葬場で私はその木の葉付きの棺を見て「やはりカシスは特別な存在だったな・・・。」
と思いながらカシスにしばしの別れを告げ、その場を後にしたのでした。

 


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